本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
亮平 57
鈴音がマンションへ帰る時間が来てしまった。
何で帰るんだよ……お前の家はここで、今の忍は鈴音の事を大切に思っているって言うのに。
送る間際、忍に「変な事しちゃ駄目よ?」と言われたときには咄嗟にごまかしたけど全身に冷水を浴びせられたような気分になってしまった。忍が本心で言っているのが俺にはよく分かっていた。鈴音の気持ちはまだ川口に向けられているのだから、手を出さないようにと釘を差したかったのだろう。
だから……もう一度俺は鈴音の本心を聞きたかった。
「なぁ……鈴音」
運転をしながら助手席に座る鈴音に問いかける。
「何?」
「お前……まだ川口の事忘れられないのか?」
「え?」
俺の突然の質問に鈴音は目を見開いて俺を見た。
「ど、どうしたの ?突然」
理由? そんなの決まっている。お前のことが好きだから聞きたいんだよ。
自分の気持ちを押し殺しながら鈴音を促す。
「別に、突然てわけじゃないが……どうなんだよ?」
「それは……まだ忘れられないよ。だけど、もう諦めなくちゃいけない人だから……」
「そうか……」
やっぱり鈴音はまだ川口が好きだったのか……。
「うん……」
だったら、俺も覚悟を決めよう。
「あのさ」
「何?」
「もし、まだ川口の事忘れられないなら……誰とも交際しないほうがいいぞ」
鈴音が以外そうな目で俺を見る。
「え?」
「お前、職場の先輩に告白されてるんだろう?」
「え? そ、そうだけど……」
戸惑いながらも答える。忍の話では、とても良さそうな男の人だと言っていたが、冗談じゃない。相手が川口だったから自分が勧めた相手だから俺は応援しようと思っていたんだ。
「なら悪いことは言わない。まだ忘れられない男がいるなら……断ったほうがいい」
そうだ、川口以外の男と付き合うって言うなら、いっそ……この俺が……。
「亮平……どうして……? だけどさ……その人を忘れる為に新しい恋愛をする人もいるんじゃないかな……?」
鈴音……まさか、お前、会社の先輩と付き合うつもりなのか?
「そうかも知れないが……そんなの相手の男に不誠実みたいで悪いと思わないか?」
駄目なんだよ! 俺は……川口だからお前を諦めようと思えるのに……!
鈴音は俺の言葉に黙ってしまった。……一体何を考えているんだ?
****
「はぁ〜…」
ハンドルを握り、アクセルを踏みながら俺は深い溜め息をついた。先程、鈴音を車から降ろした後の会話がショックで未だに尾を引きずっている。
「何でだよ……鈴音……。どうして俺と忍が結婚すると思い込んでいるんだよ……」
聞こえないふりをしたが、あの時鈴音は俺にハッキリ言った。
『何よ、もう小舅になった気でいるの?』
そんなはずないだろう? 俺が好きなのはお前だって言うのに。鈴音が車から降りる時に、『明日暇なら連絡してきてもいいぞ。どこか遊びに連れて行ってやるから』なんて言ったけど、多分鈴音の事だ。電話なんかかけてこないだろうな……。
『結構です。色々忙しいから。じゃあね』
この台詞を言われた時、正直言って傷ついた。鈴音は俺を男としてこれっぽっちもみていないのだという事実を目の前でつきつけられた気持ちになってくる。
キーッ……
信号が赤に代わり、俺はブレーキを踏んだ。
「何でだよ……。俺は……お前のことがこんなにも好きなのに……」
夜空を眺めて俺はため息をついた――
何で帰るんだよ……お前の家はここで、今の忍は鈴音の事を大切に思っているって言うのに。
送る間際、忍に「変な事しちゃ駄目よ?」と言われたときには咄嗟にごまかしたけど全身に冷水を浴びせられたような気分になってしまった。忍が本心で言っているのが俺にはよく分かっていた。鈴音の気持ちはまだ川口に向けられているのだから、手を出さないようにと釘を差したかったのだろう。
だから……もう一度俺は鈴音の本心を聞きたかった。
「なぁ……鈴音」
運転をしながら助手席に座る鈴音に問いかける。
「何?」
「お前……まだ川口の事忘れられないのか?」
「え?」
俺の突然の質問に鈴音は目を見開いて俺を見た。
「ど、どうしたの ?突然」
理由? そんなの決まっている。お前のことが好きだから聞きたいんだよ。
自分の気持ちを押し殺しながら鈴音を促す。
「別に、突然てわけじゃないが……どうなんだよ?」
「それは……まだ忘れられないよ。だけど、もう諦めなくちゃいけない人だから……」
「そうか……」
やっぱり鈴音はまだ川口が好きだったのか……。
「うん……」
だったら、俺も覚悟を決めよう。
「あのさ」
「何?」
「もし、まだ川口の事忘れられないなら……誰とも交際しないほうがいいぞ」
鈴音が以外そうな目で俺を見る。
「え?」
「お前、職場の先輩に告白されてるんだろう?」
「え? そ、そうだけど……」
戸惑いながらも答える。忍の話では、とても良さそうな男の人だと言っていたが、冗談じゃない。相手が川口だったから自分が勧めた相手だから俺は応援しようと思っていたんだ。
「なら悪いことは言わない。まだ忘れられない男がいるなら……断ったほうがいい」
そうだ、川口以外の男と付き合うって言うなら、いっそ……この俺が……。
「亮平……どうして……? だけどさ……その人を忘れる為に新しい恋愛をする人もいるんじゃないかな……?」
鈴音……まさか、お前、会社の先輩と付き合うつもりなのか?
「そうかも知れないが……そんなの相手の男に不誠実みたいで悪いと思わないか?」
駄目なんだよ! 俺は……川口だからお前を諦めようと思えるのに……!
鈴音は俺の言葉に黙ってしまった。……一体何を考えているんだ?
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「はぁ〜…」
ハンドルを握り、アクセルを踏みながら俺は深い溜め息をついた。先程、鈴音を車から降ろした後の会話がショックで未だに尾を引きずっている。
「何でだよ……鈴音……。どうして俺と忍が結婚すると思い込んでいるんだよ……」
聞こえないふりをしたが、あの時鈴音は俺にハッキリ言った。
『何よ、もう小舅になった気でいるの?』
そんなはずないだろう? 俺が好きなのはお前だって言うのに。鈴音が車から降りる時に、『明日暇なら連絡してきてもいいぞ。どこか遊びに連れて行ってやるから』なんて言ったけど、多分鈴音の事だ。電話なんかかけてこないだろうな……。
『結構です。色々忙しいから。じゃあね』
この台詞を言われた時、正直言って傷ついた。鈴音は俺を男としてこれっぽっちもみていないのだという事実を目の前でつきつけられた気持ちになってくる。
キーッ……
信号が赤に代わり、俺はブレーキを踏んだ。
「何でだよ……。俺は……お前のことがこんなにも好きなのに……」
夜空を眺めて俺はため息をついた――