嘘も愛して


「行くって、二人で?」


 リビングを出ようとする彼を振り返る。ずっと彼のペース。私も立ち上がり、後に続く。


「あぁ。仁彩、あんたを知りたい」


 扉を開けて、肩越しに私を振り返った彼に目を食らう。


「へ」


 なんて間抜けな声が出てしまう。見下ろす視線は何を考えているのか読めず、彼が気になってしまう。


「どこ行くの?」


 スタスタと玄関に向かう彼に続きながら問いかける。気になる。どうしてわざわざ家にまで赴いたのか。


 私の何が知りたいのか。どうして知りたいと思ったのか。あぁ、好奇心が止まらない。


 密かに目を輝かせる私に、彼は一瞬たりともペースを乱さない。


「仁彩が行きたいところ」




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