ハイスペ上司の好きなひと
帰宅してから数時間、一体どれくらいの時間スノードームを見続けているのだろう。
帰ってきてからは張っていた気が抜けてしまい、何のやる気も起きず敷布団の上に転がってスノードームを意味もなく見つめ、時々揺らしたりして遊んでいた。
失恋というのもおかしな話だが、間違いなくこれは失恋だろう。
聞けば藤宮は飛鳥の入社時からの教育係でありパートナーで、同僚として強い信頼関係が出来上がっていた。
会話の端々で「あれ」だったり「それ」だったりで何の案件のどれを指しているのか分かっていたり、飛鳥が依頼しようとしていた事を既に藤宮が処理済みだったり、ああいうのを阿吽の呼吸というのだろう。
2人にその気がないのは百も承知だが、何とも言えない疎外感で居た堪れなさを感じる瞬間があった。
それと同時に、半年ものブランクを全く感じさせない藤宮に、彼女の優秀さをありありと見せつけられた1日だった。
そのおかげでその恩恵を預かり復帰初日だというのにノー残業だ。
出社時間こそ早かったが、今日のノルマをきっちりこなし時短の帰宅時間きっかりに退社していった彼女はさすがの一言に尽きる。
この調子なら近いうちにお払い箱になるかもなあ、なんて弱気な事を考えながらもう一度人差し指でドーム内の雪を舞わせた。