ハイスペ上司の好きなひと
同じ屋根の下若い男女が居て何も無い訳がないと散々疑われたが、ご覧の通り自分達にはそういう雰囲気のその字もないくらい清廉潔白な共同生活をしている。
冗談の延長でいっそ押し倒して既成事実作れば?なんて言われたけど、そんなバイタリティがあればそもそも苦労などしないという話だ。
まあとりあえず、その話は置いておいてだ。
これから自分は大事な話をせねばならないのだから気を引き締めなければ。
「飛鳥さん、夕食は済まされましたか?」
「いやまだだ」
「ならご一緒しませんか?お話したい事もありますので」
手に持っていた惣菜の袋を掲げれば、飛鳥は分かったと言ってキッチンへ足を踏み入れた。
広いダイニングテーブルに惣菜を並べ、飛鳥が持ってきた取り皿を各々の席の前に置いて席に着く。
向かい合って座ると途端に緊張感が湧いてきたが、どこからどう切り出せばいいのだろう。
一向に箸に手をつけようとしない紫を怪訝に思った飛鳥が何かを言いかけた時、それを遮るように声を発した。