ハイスペ上司の好きなひと
それは妹のような存在として、ですか?
そうは聞けなかった。
丁度その時頼んでいた定食が運ばれてこなければ、もしかしたら涙が溢れてしまっていたかもしれない。
グッと奥歯を噛み締め、気持ちを悟られまいと無理矢理笑顔を作ってみせた。
「そんな事初めて言われました。口が立つとか生意気とかばかり言われてきましたから」
「そうなのか?素直で頑張り屋だと思うが」
「ありがとうございます。…嬉しいです」
嘘だ。全然嬉しくなんかない。
飛鳥には、飛鳥にだけはそんな風に思われたくなかった。
ただの庇護対象にされるくらいなら、生意気で小賢しい部下でありたかった。
そうすればせめて、彼と仕事の面で並び歩けたかもしれないのに。
美味しいはずの定食は味を感じず、ただ空腹を満たす為だけの食事になってしまった。
食事中も何かを話した記憶はあるのに内容が思い出せず、昼休みの終わりが近づいてきたところで2人分の食事代を払い、その場で別れた。