ハイスペ上司の好きなひと
冴えない気持ちのままデスクに戻れば、自分の姿を見つけた藤宮が身体を向けて声をかけてきた。
「古賀さん、さっき飛鳥くんが探してたけど無事に会えた?切羽詰まってるように見えたけど」
「あ…はい」
今は彼女の口からその名前は聞きたくないなと最低な事を思いながら唇の端を上げる。
「諸事情で昼食の約束をしてたんですけど、ちゃんと会えましたよ」
「え…?」
藤宮が大きな瞳を更に見開き、こちらを凝視してきた。
「…違ってたらごめん。もしかして、食事した店って少し奥まった所にある提供がすごく早い定食屋さん?」
「え?ああ、はい。そうです」
藤宮が何故知っているのだろうと思ったところで、初めて店に訪れた時に飛鳥が唯一1人だけに教えていると言っていた事を思い出した。
ああ、やはりこの人はどこまでも彼にとって特別な人なのだ。
そう思うと酷く胸が苦しくなったのに、モヤモヤとした黒い感情は次の瞬間に一気に吹き飛んだ。
目の前の藤宮の瞳から、ポロポロと涙が溢れていたのだ。