ハイスペ上司の好きなひと
その後予想は現実となり、新卒の配属と共に配置換えが行われた。
藤宮と飛鳥の下に七瀬が入り、紫は別のチームに移った。
海外営業部の中で秋山という男を筆頭にプロジェクトが動いており、そのメンバーの一員につい最近簿記2級の資格を取得した紫が抜擢されたのだ。
会計理解力を買われての引き抜きだったので任される仕事は金額の大きいものも多く気が抜けないし、これまでと違って今度は英語での専門的な語学力が求められ紫は以前にも増して忙しい日々を過ごす事になった。
ただ新たな上司である秋山もまた気のいい男で、しかも藤宮の同期だというのだから配置換えの際には「私の後輩大事にしてよ」と彼女から釘を刺されていたので十分に気遣ってはもらえていた。
気付いた時には別のチームに入って1ヶ月が経過しており、週末には兄の結婚式が差し迫るまでになっていた。
その日だけは仕事は持ち越せないと週の初めから残業を重ねた金曜日、満身創痍とまではいかないが朝からそれなりに疲れて出社していた。