ハイスペ上司の好きなひと


本来ならば土曜は休日なのだが、今日に限って時差の関係で午後に一件テレビ会議が予定されており出社をせねばならず、事情聴取などという非日常を経験した為にアドレナリンが大量に放出されたのか殆ど眠れないまま会社に向かう羽目になった。

結果、エナジードリンクとコーヒーを摂取してそれに挑み会議中の眠気は耐えられたが、カフェインを大量に摂取した影響でテレビ通話が終了した途端に腹痛を起こして倒れてしまった。

その後病院に運ばれて鎮痛作用と胃酸の分泌を抑えるという点滴を入れるとすぐに痛みは引き、その間付き添ってくれていた飛鳥に紫は三つ指をついて勢いよく土下座した。


「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした!」


あまりに綺麗な土下座をするので、普段はポーカーフェイスの飛鳥も流石に焦ったような声を発した。


「頭を上げてくれ。会議は無事に終わっていたから何も問題は無い。何か事情があったんだろう?」
「えっと…その…」


個人的な事情で申し訳ないのですが、と前置きをした上で紫はこの1ヶ月半の出来事を話した。

その間黙って聞いていた飛鳥だが、次第に眉の間に皺が寄っていっていた。



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