ハイスペ上司の好きなひと


いつの間にか脱ぎ捨てていたカーディガンを肩にかけられ、背を向けた飛鳥を追う。

会計は既に真由菜達が済ませてくれていたらしく、後で返金しなければと痛む頭を抑えながら考えた。


ーーそれにしたってなんて事を…


未だどうして飛鳥を呼んだりしたのか自分の行動が理解出来ないが、店を出てすぐ停めてあったタクシーに乗り込むと、告げられた先は自宅の住所では無かった。


「え?あの、私の家…」
「話がしたいから一旦うちに来てくれ」


そう言われ、身体がまた硬直した。

これからまた自分はフラれに行くのだろうかと思うと忘れていた涙が浮かんでくる。

けど有無を言わさぬ飛鳥の雰囲気に帰りますとは到底口に出来ず、小さくなって座っていることしか出来なかった。


そうしてしばし車に揺られてかつての居候先に到着し、重い足取りで飛鳥の家へと入った。

まだアルコールが抜けきっておらず、そのおかげで少しは気が紛れたがこれが素面であったらとてもじゃないけど生きた心地はしなかっただろう。

数ヶ月ぶりに入ったリビングに変化は無かった。

ある一点を除いては。



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