ハイスペ上司の好きなひと
「あ…フィカスが…」
自分が住んでいた頃より元気のない観葉植物につい声を上げてしまい、思わず口を手で覆った。
「言ったろ、俺は植物クラッシャーだって」
ちゃんと世話してるつもりなんだけどなと言う口ぶりは少し寂しそうにも聞こえた。
気になって近づいて見てみれば葉は元気が無く垂れており、土は湿っていた。
「あの…もしかしたら水のやり過ぎかもしれません」
「そうなのか?」
そう言いながら隣に並んでしゃがんだ飛鳥を意識してしまい、身を固くして体を抱え込んだ。
「根腐れの可能性もあるので、新しい土に変えた方がいいと思います」
「分かった。明日やってみる」
「……」
もしや話というのはこれだったのかと一瞬期待をしたが、距離を取ろうと立とうとしたところを腕を掴まれ引き留められたので、その可能性は潰えてしまった。
「古賀、聞いてくれ」
「……はい」
力無く腰を下ろして正座をすれば、飛鳥としっかり視線が合ってしまい居た堪れなくなる。
一体何を言われるのだろうかと怖くなり視線を落とせば、腕を掴んでいた手が降りてきて膝に置いていた自身のそれと重なった。