ハイスペ上司の好きなひと
「古賀が急に引っ越すって聞いて焦ったし、君の居ない家は寂しかった。けどそれを認めてしまったら俺の藤宮さんへの長い想いは何だったんだって思ったら…素直に向き合えなかった」
「それは…」
そう思うのは仕方がない事ではないか。
それだけ辛い思いをしていたのだ、この人は。
愛した人の幸せの為に身を引くのがどんなに辛いことか、今の自分には痛いほどよくわかるから。
「けど古賀の泣いた顔を見たらもうダメだった。泣かせた理由ばっか考えて、もしかしたら古賀もって勝手に期待なんか抱いて」
「……」
「けど同時に、そうじゃ無かったらって思うと怖かった。またあんな思いするくらいならって、一瞬見ないフリしようとした」
「飛鳥さ…」
「なのに古賀に好きだったって言われて、舞い上がったんだ」
けど、と手を握る力が強くなる。
「過去形だったし、上司と部下以上は望まないって言われて同時に愕然とした。そうしてたら追い討ちかけるみたいに藤宮さんから古賀が婚活考えてるって聞いて…そんな資格もねえクセにイライラして」
「あ…」
先日の御手洗いでの社員の言葉を思い出した。
飛鳥がピリピリしてると、確かに言っていた。
「話しかけても古賀は素っ気ないし訳わかんなくなってた」
「す、すみませ…」
「謝るな。俺が悪いんだ」