ハイスペ上司の好きなひと
互いの息遣いだけが木霊する中、飛鳥はおもむろに顔を上げるとまたもキスを落とした。
「大丈夫か」
「は、い…」
言い得ぬ恥ずかしさが込み上げてつい視線を落とせば、隣に倒れ込んだ飛鳥が体を引き寄せ抱き締めてきた。
「しばらくこのままでいさせてくれ…」
その声色に覇気はなく、微睡の中にいるように感じた。
胸元に当たった肌は聴覚を通じて飛鳥の早い鼓動を伝わせ、その定期的に刻まれるリズムに紫の瞳もだんだんと重くなってきた。
ーーしばらくこのままって、言ってたし…
何より、このまま甘えていたい。
そう思った紫はほぼ無意識に頬を擦り寄せ、そのまま瞳を閉じた。
自身の腕の中で何の警戒もなく眠りに落ちた紫にどうしようもない愛しさを感じ、飛鳥は起こさないように気を遣いながらも、もう絶対に手放さないと誓い強く抱擁をした。