ハイスペ上司の好きなひと
「夕飯は食べたか?」
「まだだよ。せっかくの週末だから航くん待ってた」
「そうか。待たせてごめんな」
言いながら触れていた体が離れ、ゆっくりと目が合う。
「…けど、悪い。その前に少しいいか」
「ん?なに?」
とりあえず座ろうと誘導され、同棲に合わせて新調した少し広めのソファに2人で腰掛ける。
隣同士に座りながらも膝を合わせ、そこに置いた紫の手の上に航輝の大きな手が重なった。
「本当はもう少し先の方がいいかとは思ってたんだが、紫といるのが幸せ過ぎて我慢出来ないから言う」
そして間髪入れず、航輝は懐から小さな小箱を取り出した。
「紫、俺と結婚して欲しい」
「……」
手のひらがすくわれ、その上に小箱が乗せられる。無言のまま開かれたその中には、紛うことなき指輪が入っていた。
「…航くん…」
「驚かせて悪い。けど、俺は付き合った時から決めてたんだ」
「…付き合った、時から…?」
「ああ。結婚するなら絶対に紫しかいないって、ずっと思ってた」
「……」
指輪に落としていた視線を上げ、航輝を見つめる。紫を見据える瞳は、確かに愛情に満ちていた。