ハイスペ上司の好きなひと
しばらくしてようやくそれが離れると、ゆっくりと紫の肩に航輝の頭が落ちてきた。
「けど…良かった。やっぱり少し不安だったから」
「…どうして?私の気持ち、あんまり伝わってなかった?」
「いや…ちょっと最近浮かれ過ぎてたから、重いやつだって思われたかもって思って」
「そんなこと…」
「実際、周りから自制しろって言われてたしな」
航輝が顔を上げ、少し困ったように笑う。
「藤宮さんからも苦言を呈された時には流石に焦った」
「え…あの藤宮さんが?」
「ああ。ずっとプロポーズの相談してたんだが、あんまり度が過ぎると呆れられるよって」
「…ええ…」
あの大海原の如く心の広い藤宮から言われたとなると余程なのだろう。
別のチームになりほとんど関わりの無くなった事もあり、職場で航輝の様子を伺える機会はほぼ無い。
仕事はきちんとしていると言っていたけれど、また別の目で見られていたのかと思うと途端に恥ずかしくなった。
「えっと…なら、ちょっとだけ外での触れ合いは控えよっか?」
遠慮がちに紫がそう提案すると、航輝はあからさまに眉を寄せて不機嫌な顔を見せた。