ハイスペ上司の好きなひと
「へっ?」
気付けば後ろから覆うように乗り掛かられ、紫は呆気に取られながら首を回して航輝を見上げる。
「こ、航くん…?」
「…終わった気になってるところ悪いが」
先程まで確かに蜂蜜のように甘い視線を向けていたはずの航輝の瞳は、艶っぽくも隠しきれない情欲を映し出していた。
「俺はまだイけてないんだよ、紫」
「!」
サーッと紫の頭が冴えていくと同時、グッと強く腰を掴まれる。
「少し物足りないが、こうすれば顔も見えないから…思いっきり乱れられるな?」
「え…?な、何言って…」
「もうちょっと頑張ってくれよ、紫」
「!?」
あまりにいい笑顔を向ける航輝に、紫は自分の認識の甘さを痛感する。
同じ屋根の下暮らし始めて数日。これまでの日々は、まだほんの序章に過ぎなかったことを。
再び勝手に漏れ出る嬌声を聞き視界が白に弾ける中、左手薬指の指輪が、朝日に反射して輝いていた——
Fin...


