ハイスペ上司の好きなひと
その内心を悟ったのか、藤宮はうーんと頬に手を当てた後、それならばと思いついたように言った。
「丁度今後のやり取りを古賀さんに引き継いでもらおうと思ってたし、来週中には彼から挨拶の電話をしてもらうようにお願いしておくね」
「いいんですか?」
「勿論。その人が帰ってきたら密にやり取りするようになるし、それまでに少しでも馴染んでおいた方がいいでしょう?」
「藤宮係長…!ありがとうございます!」
この人はどこまで優しいのだと涙声で頭を下げれば、大袈裟だよ〜とふわふわと笑った。
自分より8つは歳が上のはずなのになんて可愛らしい人なんだ。いや実際美人なのだが。
自分もこういう歳の重ね方をしたいものだと彼女を見て紫は常々思っていた。
そしてそんな会話をした翌週、PC画面の数字を睨みつけていると隣の席の藤宮から名前を呼ばれた。
「古賀さん、内線代われる?例の支社の子からの電話なんだけど」
「は、はい!大丈夫です!」
勢いよく返事をして藤宮から会社用のスマホを受け取り、ドキドキしながら耳に当てた。