ハイスペ上司の好きなひと




「少し前に上司の結婚式で会ったけど元気そうだったよ。今は仕事休んで子育てに奮闘してるみたいだ」


結婚式に藤宮も来ていたとは知らなかった。

時折メッセージではやり取りしていて元気そうなのもなかなか睡眠の安定しない子育てに振り回されているのも知ってはいたが、せっかくならば久しぶりに直接会ってみたかった。

飛鳥の言葉を聞くと、ラファエルは楽しそうに大声を上げて笑った。


「ヒジリがママか!あのワーカーホリックが仕事を離れてるなんて明日の天気は荒れそうだ!」
「…そうだな」


明るく笑うラファエルに対し、飛鳥の笑顔はどことなくぎこちない。

けれどその理由を聞くまでもなく、途端に事務所に電話が鳴り響き雑談どころではなくなってしまった。

ワオ…と言いながら疲れた顔で電話を拾うラファエルを尻目に、飛鳥に声をかけられ専用のデスクへと案内された。


「PCはひとまずこれを使ってくれ。タブレットは持ってきてるな?」
「はい、ここに」
「ならこのフォルダに入ってる発注書の金額を確認していってくれ。終わったらまた次の指示するから声をかけるように」
「承知しました」


紫の返事を確認すると、飛鳥は近くで鳴った外線を取って対応をし始めた。

流暢に話しながら同時に手を動かす姿にやっぱりかっこいいなあ、なんて思いながら手元に意識を戻す。

その後遅れて出社してきた数名の社員とも軽く挨拶を交わし、慣れない環境に四苦八苦しながらもなんとかその日1日を乗り切った。



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