ハイスペ上司の好きなひと
久しぶりの海外生活はありがたい事に特に大きな問題も起きず、日々必死に食らいついているうちにあっという間に数日が過ぎていた。
事務の仕事だけでてんやわんやしている自分より遥かに多くの仕事をこなしている筈なのに、涼しい顔をしている飛鳥はやはり流石だ。
紫は基本的に事務所にいるが、飛鳥やラファエルは現地視察として外出する事が多い。
その間残っていた数人の事務員とはワーホリの経験も活かしてなんとか打ち解けて話せる程度には仲良くなり、協力し合いながら仕事をこなしていった。
そして支社ヘルプの最終日、その日も紫は早めに出社していつものようにPCを立ち上げていたのだが、次いで出社してきたラファエルが事務所に入るなり近寄ってきてニコニコと声をかけてきた。
「ユカリ、せっかくこっちに来たんだから外に出てみたくないかい?」
「え?」
システムにログインするためのパスワードを入力しようとしていた手を止め、紫はきょとんと顔を上げた。
因みにラファエルは一応は日本語が話せるが、やはり母国語の方が話しやすいそうなので紫も勉強の為にとフランス語での会話をお願いしている。