【完結】失恋したら有名シェフが私を溺愛包囲網で包み込みます。


「冗談言わないでよ、龍樹。……こんな状況で結婚しようなんて、よく言えるよね」

 本当に信じられない。どうしてそんなセリフが言えるの?

「豊佳だってさ、俺と結婚したいと思ってるんだろ?」

「……それは」

「え? 豊佳は俺からのプロポーズ、ずっと待ってたんだろ?」 

 確かに龍樹からのプロポーズを望んでいた。龍樹のことが大好きで、これからもずっと一緒にいたかった。
 龍樹と結婚したかった。……でももう、それは出来ない。

「……私、龍樹とは結婚なんて出来ない」

「どうしてだよ?」

「どうしてって……考えればわかるでしょ? だって龍樹にはセフレがいるんだよ?」

 私が龍樹にそう言っても、龍樹は「セフレがいたって別に構わないだろ? セフレはセフレだし。ただセックスするだけの関係だ。彼女じゃない」と私に言い訳してくる。

「そういう問題じゃない! 私以外の女とセックスするとか……それは普通に浮気だから! セフレがいる彼氏となんて、私は結婚出来ないっ!」
 
「豊佳、わかってくれよ。アイツは俺にとって必要な存在なんだ」

「はあ? 何言ってんの?」

 セフレが必要な存在……? 意味わからない。

「もちろん好きなのは豊佳だけだし、愛してるのも豊佳だけなんだ。 でも俺にとってセフレはいないとダメなんだよ」

 セフレがいないとダメって……。やっぱり頭おかしい。

「アイツとはちゃんと避妊はしてるし、アイツとの子供を作る気はない。子供はほしいけど、俺がほしいのは豊佳の子供だ」
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