ぼっち姫と英雄
一番まともと言われた物件を見に来た冷月は屋敷を見て物件を紹介した受付嬢をジト眼で見ていた。冷月がジト眼になるのも無理は無かった、確かに王城に近いで間違ってはいないが王城に近過ぎるのである。さすがにここは無理だと商業ギルドの受付嬢に断りを入れると次に紹介された物件が小さくも無く大きくも無いほど良い物件だったことに冷月は驚いていた。
「ちゃんとした物件あるのね?」
「はい、ありますよ!先ほどはギルマスが居たのでお出し出来なかっただけで、この手の物件は揃えています!」
「ん?ギルマスがいると案内出来ないって?」
「ちゃんと説明しますね、ギルマスは先ほどの物件を優先的に処分したいようで、しかも出来るだけ早く契約させたいようなので一般的な物件を勧めることを控えさせているのよ!」
「ふ~~~ん、それでこの物件は訳ありな空き家では無いのね?」
「訳アリというのをどこまで考えるかで変わりますがこの物件はある貴族が別邸として購入後、親族全員が不慮の事故に遭ったそうで売りに出されたと聞いています!」
「確かに新居を購入した後に親族全員が不慮の事故で亡くなって間無しに新居を売りに出してるあたり、何かありそうではあるわね。誰がこの物件を売りに出したかわかるかしら?」
「ちょっとお待ちください!当時の貴族家当主の家令のようですね。家令が売りに出しに来た時に聞いた話では当主の自分に何かあったら購入したした新居を売りに出すようにと指示されていたと聞いています」
「そう、その屋敷そのものには人の手は入っていないということでいいかしら?」
「そうですね、管理するために掃除やらはしていますがそれ以外では人の手は入っていないと思っていただければと思います」
「管理のための掃除とかは誰がやっているのかしら?」
「ここだけの話にして下さいね!本来、管理のための掃除は必要無いとギルドマスターから言われているのですが、各担当者は少しでも多く売りたいので印象を良くするために自分で掃除してる人もいます。私も担当物件は自分で掃除する方なのでご安心下さい」
商業ギルドの受付嬢の言葉を聞いた冷月は、この物件を購入しても問題は無いだろうと思い、この物件の現物を見てみたいと担当してる受付嬢にいうと今はちょっと困った事になっておりましてと物件の下見を渋るのだった。冷月は出来れば早めに決めてしまいたいと願い出ると担当受付嬢は、今案内出来ない理由を教えてくれるのだった。