彩度beige
(一葉くんとも、会う機会は減るのだろうし・・・)


あれ以来、一葉くんからの誘いはなかった。

ただ食事をする・・・という誘いはもちろん、「取材」という名のお誘いも、一度もなくて。

私からも誘っていないし、多分だけれど・・・、一葉くんは、私が距離を取ろうとしていることに、気がついているんだと思う。


(お互いに、『忙しい』って理由ももちろんあるとは思うけど・・・。以前より、確実に距離はできていて・・・)


一葉くんは、距離を取ろうとしている相手に詰め寄るタイプの人じゃない。

私から、そうしようって思ってしていることだし、これでいい・・・って、考えるようにはしているけれど。

やっぱり、これは本意じゃなくて、だけど、そうするしかないように思って。自分でとった行動を、悔んだり、でも仕方ないって思ったり、悩んで、悩んで・・・、彼への気持ちは、毎日毎日ごちゃまぜで。

だけどーーー、もし、このまま進んでいくならば。

この企画の仕事が終わったら、そして、彼が執筆中の・・・私を主人公にしたお話が書き終わったら。確実に、私たちは会わなくなってしまうと思う。

「・・・・・・」


(・・・そうだ・・・。そういえば・・・・・・)


最近は、企画の仕事ばかりになって、あまり話題に出てもいないけど。執筆はーーー、どこまで進んでいるのかな。

物語の中、彼の想像上の世界の「私」。

その「私」は、今、何をして、何を考えているんだろうか。










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