彩度beige
色々注文があるのだろう、美波さんは照明を持った男性に、詰め寄るように近づいて、男性が一歩後退る。
と、照明の機材が重いのか、男性はバランスを崩してよろめいた。
美波さんが追い打ちをかけるようにさらに一歩近づくと、男性の腕がビクリと動き、照明の機材が傾いた。
(あっ・・・!)
落ちるかも!と、危険を感じたその時だった。
視線の先、幼稚園生くらいの男の子が、パタパタとこちらに向かって走ってくる姿が見えた。
(・・・!)
私は咄嗟に駆け出して、男の子の身体を引き寄せ抱きしめた。
ーーー危機一髪。
照明が、私の真横にガシャンと落ちて、その音に、ビクッと肩を震わせた。
照明は、一部が割れたようだけど、破片は大して周囲に飛び散ってはいなかった。
「・・・、大丈夫?ケガはないかな」
「うん・・・、大丈夫。びっくりした」
「びっくりしたね。急にごめんね」
腕を緩めて、男の子に急に抱きしめてしまったことを謝ると、「うん」と笑顔で答えてくれた。
「僕もあぶないと思ったんだけど・・・、止まれなかったの」
「・・・そっか・・・」
「うん・・・。だからありがと」
「うん」
(よかった・・・)
ひとまずは、男の子にケガがなかったことにホッとする。
照明を持っていた男性は、「すみません!!」と、焦った様子で足元にいる私と男の子に頭を下げた。
「ちょっと!」
今度は、責めるような声が背後から聞こえたために、私は顔を動かした。
見ると、美波さんが仁王立ちで私のことを見下ろし睨んでいる。
「あなた急に出てきて危ないじゃない!照明壊れちゃったわよ」
「・・・すみません。こちらの男性が、男の子とぶつかりそうだったので・・・」
「・・・男の子?」
美波さんは、探るように首を動かした。
そこで初めて、私の腕の中にいる、男の子の存在を認識したようだった。
「・・・その子が急に飛び出してきたの?」
「い、いえ。あの」
「や、美波さん、僕の不注意なので・・・」
そこで、照明を持っていた男性が、私と美波さんの間に入ってくれた。
美波さんは怪訝そうな表情で、私と男の子、男性を交互に見た後で、「まあいいわ」と呟いた。
「木梨くんは後で弁償してね」
「えっ!」
「ああ、そこのあなたはもういいわ。邪魔だから、その子、どこか連れて行ってくれません?」
美波さんは、男の子に目を向けて、面倒そうに呟いた。
男の子は不安そうな表情で、私のスーツの袖をぎゅっと握った。
(・・・邪魔、って・・・)
そんな言い方をしなくても。
私は、男の子の小さな右手に手を添えた。
「コウタ・・・!」
その時、30代ぐらいのご夫婦が焦った様子でやってきた。
「パパ、ママ!」と言いながら、男の子が駆け寄っていったので、あの子のご両親なのだろう。
と、照明の機材が重いのか、男性はバランスを崩してよろめいた。
美波さんが追い打ちをかけるようにさらに一歩近づくと、男性の腕がビクリと動き、照明の機材が傾いた。
(あっ・・・!)
落ちるかも!と、危険を感じたその時だった。
視線の先、幼稚園生くらいの男の子が、パタパタとこちらに向かって走ってくる姿が見えた。
(・・・!)
私は咄嗟に駆け出して、男の子の身体を引き寄せ抱きしめた。
ーーー危機一髪。
照明が、私の真横にガシャンと落ちて、その音に、ビクッと肩を震わせた。
照明は、一部が割れたようだけど、破片は大して周囲に飛び散ってはいなかった。
「・・・、大丈夫?ケガはないかな」
「うん・・・、大丈夫。びっくりした」
「びっくりしたね。急にごめんね」
腕を緩めて、男の子に急に抱きしめてしまったことを謝ると、「うん」と笑顔で答えてくれた。
「僕もあぶないと思ったんだけど・・・、止まれなかったの」
「・・・そっか・・・」
「うん・・・。だからありがと」
「うん」
(よかった・・・)
ひとまずは、男の子にケガがなかったことにホッとする。
照明を持っていた男性は、「すみません!!」と、焦った様子で足元にいる私と男の子に頭を下げた。
「ちょっと!」
今度は、責めるような声が背後から聞こえたために、私は顔を動かした。
見ると、美波さんが仁王立ちで私のことを見下ろし睨んでいる。
「あなた急に出てきて危ないじゃない!照明壊れちゃったわよ」
「・・・すみません。こちらの男性が、男の子とぶつかりそうだったので・・・」
「・・・男の子?」
美波さんは、探るように首を動かした。
そこで初めて、私の腕の中にいる、男の子の存在を認識したようだった。
「・・・その子が急に飛び出してきたの?」
「い、いえ。あの」
「や、美波さん、僕の不注意なので・・・」
そこで、照明を持っていた男性が、私と美波さんの間に入ってくれた。
美波さんは怪訝そうな表情で、私と男の子、男性を交互に見た後で、「まあいいわ」と呟いた。
「木梨くんは後で弁償してね」
「えっ!」
「ああ、そこのあなたはもういいわ。邪魔だから、その子、どこか連れて行ってくれません?」
美波さんは、男の子に目を向けて、面倒そうに呟いた。
男の子は不安そうな表情で、私のスーツの袖をぎゅっと握った。
(・・・邪魔、って・・・)
そんな言い方をしなくても。
私は、男の子の小さな右手に手を添えた。
「コウタ・・・!」
その時、30代ぐらいのご夫婦が焦った様子でやってきた。
「パパ、ママ!」と言いながら、男の子が駆け寄っていったので、あの子のご両親なのだろう。