彩度beige
「申し訳ありません・・・っ、この子が急に駆け出していってしまって・・・」
「いえ、大丈夫です。ケガもなくて・・・、よかったです」
「そうですか・・・。ほらっ、コウタも謝って」
「・・・、ごめんなさい・・・」
「ううん、大丈夫だよ」
「すみません・・・」
ご両親は、私や照明を持っていた男性に何度も頭を下げながら、男の子・・・コウタくんを連れて立ち去った。
途中、コウタくんがこちらを振り返り、小さく手を振ってくれたので、私も小さく振り返す。
ひとまず、誰もケガはなく、コウタくんを無事ご両親に引き渡せたことに安堵する。
「・・・はあ・・・、やっと行った。やっぱりあの子が急に飛び出してきたのよね」
ため息をつきながら、美波さんが呟いた。
その視線は、遠ざかっていくコウタくん家族の後ろ姿を見つめている。
「撮影してるの見てわからないかな。だから子供って苦手だわ。照明も壊れちゃったし」
「・・・・・・」
私は、とても腹立たしい気持ちになっていた。
ここまでの言葉や態度、積み重なっていた、美波さんに対する苛立ち。
私はゆっくり立ち上がる。
「・・・いいわ。あとは照明なしで撮影しましょ。・・・ああ、あなたも。早くどいてくれません?」
美波さんは、今度は私に目を向ける。
私はもう、直接確認せずにはいられなかった。
「あの、失礼ですが・・・、こちらでの撮影許可はお取りいただいていますでしょうか」
「は?」
「商用撮影のように見えますが、そうすると、事前に申請をして、許可を取っていただくことになっています」
これは、私が言うべきことじゃない。
それはわかっているけれど、これまでの言動で、美波さんが撮影許可を取っているとは思えなかったし、棚橋さんが未だ戻ってこない今、黙ってここを立ち去ることもできなかった。
「許可って・・・、撮影はどんな用途もご自由にって、ホテルのHPに書いてあったわよ」
「・・・そんなことはないはずですが」
「書いてあったわよ。ちょっと待って・・・、あっ、ほら、ここ!」
そう言うと、美波さんは得意顔で私にスマホの画面を見せた。
そこには確かに、「用途に関わらず撮影等はご自由になさってください」の文字が書いてあるけれど・・・。
「・・・こちらは、『Vulpecula』のHPではないですね・・・」
「・・・え?」
「ホテル名も外観も似てますが・・・、別のホテルです」
「・・・・・・。はあ!?」
確かにホテル名はよく似ているし、外観も、一瞬似ているように見えないこともないけれど・・・、よく見れば、全く違うホテルであった。
美波さんは再度画面に目をやると、やっと違いに気づいたのだろう、「うそっ」と言って焦ったような顔になる。
「いえ、大丈夫です。ケガもなくて・・・、よかったです」
「そうですか・・・。ほらっ、コウタも謝って」
「・・・、ごめんなさい・・・」
「ううん、大丈夫だよ」
「すみません・・・」
ご両親は、私や照明を持っていた男性に何度も頭を下げながら、男の子・・・コウタくんを連れて立ち去った。
途中、コウタくんがこちらを振り返り、小さく手を振ってくれたので、私も小さく振り返す。
ひとまず、誰もケガはなく、コウタくんを無事ご両親に引き渡せたことに安堵する。
「・・・はあ・・・、やっと行った。やっぱりあの子が急に飛び出してきたのよね」
ため息をつきながら、美波さんが呟いた。
その視線は、遠ざかっていくコウタくん家族の後ろ姿を見つめている。
「撮影してるの見てわからないかな。だから子供って苦手だわ。照明も壊れちゃったし」
「・・・・・・」
私は、とても腹立たしい気持ちになっていた。
ここまでの言葉や態度、積み重なっていた、美波さんに対する苛立ち。
私はゆっくり立ち上がる。
「・・・いいわ。あとは照明なしで撮影しましょ。・・・ああ、あなたも。早くどいてくれません?」
美波さんは、今度は私に目を向ける。
私はもう、直接確認せずにはいられなかった。
「あの、失礼ですが・・・、こちらでの撮影許可はお取りいただいていますでしょうか」
「は?」
「商用撮影のように見えますが、そうすると、事前に申請をして、許可を取っていただくことになっています」
これは、私が言うべきことじゃない。
それはわかっているけれど、これまでの言動で、美波さんが撮影許可を取っているとは思えなかったし、棚橋さんが未だ戻ってこない今、黙ってここを立ち去ることもできなかった。
「許可って・・・、撮影はどんな用途もご自由にって、ホテルのHPに書いてあったわよ」
「・・・そんなことはないはずですが」
「書いてあったわよ。ちょっと待って・・・、あっ、ほら、ここ!」
そう言うと、美波さんは得意顔で私にスマホの画面を見せた。
そこには確かに、「用途に関わらず撮影等はご自由になさってください」の文字が書いてあるけれど・・・。
「・・・こちらは、『Vulpecula』のHPではないですね・・・」
「・・・え?」
「ホテル名も外観も似てますが・・・、別のホテルです」
「・・・・・・。はあ!?」
確かにホテル名はよく似ているし、外観も、一瞬似ているように見えないこともないけれど・・・、よく見れば、全く違うホテルであった。
美波さんは再度画面に目をやると、やっと違いに気づいたのだろう、「うそっ」と言って焦ったような顔になる。