彩度beige
食事が終わると、誕生日ケーキと紅茶のセットが運ばれてきた。
丸い形の、美味しそうなイチゴのケーキ。
小ぶりなマカロンも上に乗っていて、見た目もかわいく、味ももちろん格別だった。
本当に、幸せな時。
この時間がずっと続けばいいのにーーー・・・。
「・・・さて、と・・・。もうこんな時間だし、オレはそろそろ戻るかな。ありがとう、疲れてるのに食事にも付き合ってもらって」
「う、ううん!それはこちらの台詞で・・・」
ケーキを食べ終え、紅茶も全て飲み干した頃。
一葉くんは電話で食事の後片付けを手配した。
ーーーもう、これで終わってしまう。
今だけだって、今日で終わりにするのだと、決めていた彼と過ごす時。
スタッフが食器を片付けて、ワゴン車が部屋からなくなると、一気に現実に戻ったような感覚になる。
ーーー元からずっと現実なのに・・・。
ここから先は、今とは違う世界線に立つ現実だ。
これから、ここで眠って朝起きて。
明日、一葉くんが洋服を届けに部屋に来てくれた時、彼の誕生日の件を断ってーーー・・・、それから味わうであろう現実を、考えると喉が渇いてく。
「・・・ああ、そうだ」
広い広い部屋の中。
リビングの真ん中で、思い出すように一葉くんがジャケットの内側を探りだす。
「あった」と小さく呟いて、白いリボンのかかった小さな箱を取り出すと、私に「はい」と差し出した。
「忘れるとこだった。誕生日プレゼント」
「えっ・・・!?」
宿泊に、花束に。美味しい料理に美味しいケーキ。
私は、これ以上ないくらいのプレゼントを沢山贈ってもらった。
驚いて、すぐにはそれを受け取れず、戸惑ったまま眺めてしまう。
「水谷さんに似合うと思って。受け取ってくれると嬉しいです」
「・・・・・・」
私のために、一葉くんがわざわざ選んでくれたもの。
いいのだろうか、という思いはどうしても湧いてしまうけど、やっぱり、彼の気持ちは嬉しくて、私はそっと手を伸ばす。
「・・・、ありがとう・・・」
ドキドキしながら、小さな箱を受け取った。
「開けていい?」と尋ねると、「もちろん」と答えが返ってきたので、私は細長い白いリボンを解き、四角いフタをパカリと開けた。
「わ・・・」
箱の中に入っていたのは、猫がモチーフのイヤリング。
よく見なければ猫だとはわからないような、小ぶりでさり気ないデザインだ。
けれど、私だけがそのかわいさをしっかりわかってるんだって、秘密めいた気持ちも満たしてくれる、そんなイヤリングだなって思った。
「・・・かわいい・・・」
「よかった。前に『Lynx』で選んだ猫のネックレスと同じ作家さんに作ってもらったんだ。あの時のネックレスにも合うようにって」
「・・・・・・」
私の記憶が、まだ出会って間もない頃・・・一葉くんと訪れた、「Lynx」のお店の中へと飛んでいく。
ーーー最初は、一葉くんと店内を見ることさえも緊張してた。
だけど次第に慣れていき、2人で色々言いながら、店内を見て回って楽しんだ。
そして最後に、一葉くんが猫モチーフのネックレスと、猫のようなクマのようなぬいぐるみを私に買ってくれたんだ・・・。
丸い形の、美味しそうなイチゴのケーキ。
小ぶりなマカロンも上に乗っていて、見た目もかわいく、味ももちろん格別だった。
本当に、幸せな時。
この時間がずっと続けばいいのにーーー・・・。
「・・・さて、と・・・。もうこんな時間だし、オレはそろそろ戻るかな。ありがとう、疲れてるのに食事にも付き合ってもらって」
「う、ううん!それはこちらの台詞で・・・」
ケーキを食べ終え、紅茶も全て飲み干した頃。
一葉くんは電話で食事の後片付けを手配した。
ーーーもう、これで終わってしまう。
今だけだって、今日で終わりにするのだと、決めていた彼と過ごす時。
スタッフが食器を片付けて、ワゴン車が部屋からなくなると、一気に現実に戻ったような感覚になる。
ーーー元からずっと現実なのに・・・。
ここから先は、今とは違う世界線に立つ現実だ。
これから、ここで眠って朝起きて。
明日、一葉くんが洋服を届けに部屋に来てくれた時、彼の誕生日の件を断ってーーー・・・、それから味わうであろう現実を、考えると喉が渇いてく。
「・・・ああ、そうだ」
広い広い部屋の中。
リビングの真ん中で、思い出すように一葉くんがジャケットの内側を探りだす。
「あった」と小さく呟いて、白いリボンのかかった小さな箱を取り出すと、私に「はい」と差し出した。
「忘れるとこだった。誕生日プレゼント」
「えっ・・・!?」
宿泊に、花束に。美味しい料理に美味しいケーキ。
私は、これ以上ないくらいのプレゼントを沢山贈ってもらった。
驚いて、すぐにはそれを受け取れず、戸惑ったまま眺めてしまう。
「水谷さんに似合うと思って。受け取ってくれると嬉しいです」
「・・・・・・」
私のために、一葉くんがわざわざ選んでくれたもの。
いいのだろうか、という思いはどうしても湧いてしまうけど、やっぱり、彼の気持ちは嬉しくて、私はそっと手を伸ばす。
「・・・、ありがとう・・・」
ドキドキしながら、小さな箱を受け取った。
「開けていい?」と尋ねると、「もちろん」と答えが返ってきたので、私は細長い白いリボンを解き、四角いフタをパカリと開けた。
「わ・・・」
箱の中に入っていたのは、猫がモチーフのイヤリング。
よく見なければ猫だとはわからないような、小ぶりでさり気ないデザインだ。
けれど、私だけがそのかわいさをしっかりわかってるんだって、秘密めいた気持ちも満たしてくれる、そんなイヤリングだなって思った。
「・・・かわいい・・・」
「よかった。前に『Lynx』で選んだ猫のネックレスと同じ作家さんに作ってもらったんだ。あの時のネックレスにも合うようにって」
「・・・・・・」
私の記憶が、まだ出会って間もない頃・・・一葉くんと訪れた、「Lynx」のお店の中へと飛んでいく。
ーーー最初は、一葉くんと店内を見ることさえも緊張してた。
だけど次第に慣れていき、2人で色々言いながら、店内を見て回って楽しんだ。
そして最後に、一葉くんが猫モチーフのネックレスと、猫のようなクマのようなぬいぐるみを私に買ってくれたんだ・・・。