彩度beige
4 どんな色でも
(・・・ああ・・・、そっか。もう朝だ・・・)


真っ白な布団に包まれたまま、私はぱちりと目を覚ます。

寝心地のいいベッドの上。見慣れない壁紙と家具、天井にはめ込まれた小さな照明が目に入る。

「・・・」

ーーー昨日の夜、ベッドに潜った時には一睡もできないんじゃないかと思ったけれど、やはり疲れていたのだろう、いつの間にか、私は眠りについていた。

2時頃にはまだ起きていて、ベッドサイドの時計を確認した記憶があるけれど・・・。

いつの間に眠ったんだろう。あれからもしばらくは眠れなかったから、3時か・・・、4時頃になって寝たのだろうか。

「・・・・・・」

身体を起こし、部屋の中をぐるりと見渡す。

昨晩、一葉くんがいなくなった後、私はひとり、窓際でしばらく夜景を眺めていた。

ガラス越し。キラキラと見える街並みは、あの時、どこまでも続いているような感覚がした。

沢山の人が行き交って、沢山の人が暮らしてて。今まで見たどの景色より、とても綺麗に目に映って。

でも、だからこそ・・・、一人、この部屋でそれを眺めているということが、やけに切なく感じてしまった。


(・・・一葉くんは、あれから家に帰ったのかな。それとも、ホテルの中にいたんだろうか・・・)


ホテルにいたら、同じ景色を見ていたのかな。

その時、何を思っていただろう。

ベッドからゆっくり抜け出すと、寝室を出て、私はリビングへと移動した。

そのまま窓際へと歩いていって、カーテンを左右に開けていく。


(・・・わあ・・・)


夜景も綺麗だったけど、朝の景色は美しかった。

賑わう前の都会の街。静かで、空気が澄んでいるようで、太陽が、街全体に黄金色の光を降り注いでいるようだった。


(・・・きれい・・・)


夜見た街とは、まるで違う場所のよう。

すうーっと、鳥が空を横切っていく。広い広い大きな空を。とても気持ちが良さそうだった。


(・・・すごい。贅沢だな・・・)


朝起きて、こんな景色が見られるなんて。

「Vulpecula」のこの部屋に泊まった人しか見られない、朝一番の贅沢だ。

「・・・・・・」

本当に。本当に気持ちのいい景色。ひとりじめできるだなんて、なんて贅沢なんだろう。

ーーーだけど。もし。

一葉くんと一緒に見られたら。彼が隣にいてくれたなら。

そうしたら、この景色はもっとーーーーーー・・・。

その時、ブルル、と、テーブルの上に置いていたスマホが震え、私は手に取り確認をした。

すると、一葉くんから朝の挨拶と、「洋服を届けに行くのでタイミングのいい時に知らせてほしい」というメッセージが届いていた。


(・・・そうだ。一葉くん、智津さんからの洋服を届けてくれるんだったよね・・・)


どんな洋服なんだろう。智津さんにも後でお礼を言わなくちゃ。

そんなことを考えながら、私はまた部屋を移動して、顔を洗って軽くメークを施して、パジャマから昨日のスーツにひとまず着替えることにした。
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