彩度beige
「こ、こちらこそ。よろしくお願いします・・・っ」

一葉家、結婚、というものが、急に現実感を帯びて近づいてきたような感覚がした。

ドキドキしながら、私は深々と頭を下げる。緊張で、顔も身体も全てが熱い。

そのまま何度か呼吸して、ゆっくりと顔を上げて背筋を伸ばすと、私は、沢山の笑顔に囲まれていた。

「・・・・・・」


(・・・このひとたちが、一葉くんの、家族や大切な人・・・)


私もすでに知っている、みんなとても優しい人だ。

温かな感情がぽっと小さく胸に灯って、その灯りが、じんわりと私の中に広がっていく。

一葉くんが「大丈夫」と言っていた意味が、私にもようやくわかった気がした。

・・・大丈夫ーーー。

「一葉家」に抱いていた恐れのような感情が、緊張感が和らいでいく。

そうして私は、ほっと胸を撫で下ろすことができたのだけどーーー・・・。

「・・・いや、話、進みすぎだろ・・・」

隣から、困惑気味の声がした。

額に手を当て、「プロポーズはこれからなんだけど・・・」と、悩むように、落ち込むように呟く一葉くんのその声は、多分、私にしか届いていない。








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