彩度beige
「・・・オレは・・・、その、水谷さんのことが・・・・・・」


(・・・わ、私のことが・・・?)


ドキドキと、心拍数が上がってく。

その続きを、早く聞きたいと思った。

不安より、期待が大きくなっていく。

ーーー続きの言葉は?

私のことを、どう、思ってるんですかーーー・・・?

「ママー、あのお兄ちゃん顔真っ赤ー」


(・・・!?)


その時、向かいの席に座っている幼稚園生ぐらいの女の子が、一葉くんを指さしながら大きな声でそう言った。

一葉くんは、動揺しながらさらに真っ赤な顔になり、つられるように私も頬が熱くなる。

「ねー、お兄ちゃんだいじょうぶかな?」

「だ・・・、大丈夫よっ!お熱じゃないんじゃないのかな」

「そうなの?でもー」

「い、いいからっ!!」

私たちの話が聞こえていたのかいないのか・・・、女の子のお母さんは、申し訳なさそうに焦った様子で女の子を説き伏せていた。

「ほら、光がきれいよ~」と、女の子の視線を窓の外の夜景に一生懸命向けている。

「・・・」

「・・・」

今の流れで、周囲の視線が私たちに一気に集まった。

一葉くんは、クシャッと銀色の髪を掻き上げて、真っ赤な顔をうつむけた。

「・・・、ごめん。電車の中でする話じゃなかったな・・・」

最後まで聞けなかった私は、その言葉になんて返せばいいのかわからなかった。

けれど、もし、私の予想が、期待が当たっているのならーーー・・・。

「水谷さんには、もっとちゃんと・・・、落ち着いた時にちゃんと言う。なので・・・、この仕事が終わったら、ゆっくり聞いてくれるかな」

「・・・っ、うん!」

「・・・じゃあ、中途半端で申し訳ないけど・・・。とりあえず、緋山さんにはオレから連絡入れるから。水谷さんにも連絡あるとは思うけど・・・、仕事に関する連絡は、任せてくれるとありがたいです」

「うん」

「わかった」と頷くと、一葉くんは「ありがとう」と呟いて、そのまま静かに口を結んだ。

うつむいている、彼の頬はまだ赤い。私の頬も、まだ、熱を持っていた。

一葉くんが、目を瞑った気配。

眠ることなんてできないけれどーーー、私も、そっと目を閉じた。







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