彩度beige
エントランス用にと芳江さんにお願いしたのは、ガラス製の器とお花。

緋山くんがつくってくれる花瓶とともに、飾る予定になっている。


(ここらへんは、インテリアコーディネーターの棚橋さんがいい感じに飾ってくれるそうなのでお任せして・・・)


どんな感じに仕上がるか、私もとても楽しみだ。

しばらく話をしていると、コンコン、とドアをノックする音が。

と、黒スーツに身を包んだ一葉くんが顔を出す。

「お疲れさま。どう?だいたい集まった?」

「うん。あとは緋山くんの作品だけで・・・」

一葉くんに返事をしていると、私の横で、芳江さんがふるふる身体を震わせていた。

頬を紅潮させながら、一葉くんを見つめている。

「あなた、ホテルの方?かっこいいわねえ・・・、芸能人みたいだわ」

キラキラした瞳で見つめられ、一葉くんは戸惑いつつも「どうも・・・」と軽く頭を下げた。

「ここの支配人をしています」と一葉くんが答えると、芳江さんは、「ええ!?」と大きく驚いた。

「こんなにお若くてここの支配人!?・・・やだわ。私ったら、軽々しくホテルの方なんて言っちゃって」

「あ、いえ、『ホテルの方』で間違いないので・・・。ええと、こちらは・・・」

「新形芳江さんです。持ってきていただいた作品はこの器とお花と・・・、置き物をいくつか作っていただいて」

「・・・ああ。智津さんが紹介してくれた方ですね」

机に置いてある芳江さんの作品に目をやると、一葉くんはすぐにわかったようだった。

そして、「すごい。きれいだな・・・」と、感心したように呟いた。

「お忙しい中、どうもありがとうございました。素敵な作品を作っていただいて」

「い、いえ!こちらこそ、そう言っていただけて光栄ですわ」

芳江さんは、恥ずかしそうに笑顔を見せた。

作品を褒められて嬉しいのはもちろんだけど・・・、一葉くんのイケメンオーラに胸を打たれている感じもあった。

その後、少しだけ雑談をして落ち着いた頃、芳江さんは改めて・・・、といった様子で一葉くんをまじまじと見る。

「・・・それにしても支配人さん、本当にかっこいいわねえ・・・。おいくつでいらっしゃるの?」

「・・・、30です」

「30!まあ・・・、うちの次男と同じだわ。・・・あらー・・・、まあー・・・」

3人で話をしていると、また、ドアをノックする音が。

「失礼しまーす」という元気な挨拶とともに、会議室に顔を出したのは緋山くん。

「こんにちはー。すいません、遅くなって」

「ううん、大丈夫だよ。忙しい中ありがとう」
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