日陰令嬢は常に姿を消して生活したい~あれ?私って転生者?陰から皆さんをお守りいたします。

 私が言葉を濁しながら溜め息を付いていると、後ろからケタケタと笑い声が聞こえてきた。

「ポンコツですよねぇー」

「マジでポンコツッス」

「だな……」


 カテリーナ、ライズ、ボイスンの声にアメリアは勢いよく振り返った。

「三人とも戻って来たのね。調査ご苦労様」

「こんな調査楽勝うっス」

「私もぉー。例の奴にも会えたよぉー。それでぇーよく分からないけどぉー、なつかれたんですけどぉー」

「……任務完了」

 頼もしい影のメンバーが全員そろい、アメリアはニコリと微笑んだ。それからスッと表情を消し、シャルルを合わせた四人の前に立った。

「二日後はアーサー殿下とリリーナ嬢の婚姻式です。私達影は、けして表舞台に出ることは無い。しかし私達がいなければこの国は回らない。そうでしょう?」

 ニヤリとアメリアが悪役のように笑うと、影達も口角を上げるだけの笑みを見せた。

「ふふふっ……影の主役は私達よ。私達側に死人が出なければ、相手側に死人が出てもかまわない。全力でアーサー殿下とリリーナ嬢を守り抜くわよ」

「「「「はい!ボス」」」」

 私達側に死人が出なければそれでいい……それは悪役の考えだろう。

 しかし私はそれでいいと思う。

 全ての人を助け幸せにするなんて無理な話だ。

 きれい事を言っていれば、助けられるモノも、助けられなくなってしまう。

 それなら自分の手の届く範囲は、助けたい、守りたい、幸せにしたい。

 さあ行こう。

 私達の新しい未来を切り開くために!



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