敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 とっさに調べてくれたらしい。それを聞いて神代は安心したが、とにかく今日はいろいろなことが起こりすぎた。

「神代CEO?」
「いや……ものすごく不幸が重なったんですよ。というか俺はおじさんですか!?」

「割とお若く見える方だとは思いますが、おじさんといわれたんですか? お幾つくらいの方です?」
「小学生……低学年くらいですかね?」
「それはやむないのでは?」

 香澄の師匠である清柊には威嚇され、香澄とは妙な雰囲気になってしまい、スマートフォンは噴水に落とすし、小学生にはおじさんと言われる。

 ここ数年の不幸が一気に襲い掛かってきたかのようだった。
 これで仕事まで落としては笑い話にもならない。

「M&Aチームには至急資料の作成を依頼してください」
「承知いたしました」

 執務室でいつものようにパソコンの前に座ったが、いろいろ考えるとさすがの神代も落ち込みそうになった。

 なによりも香澄と今すぐにでも連絡を取りたい状況なのに連絡を取る手段であるスマートフォンが使えないことが痛い。
(明日にでも一度電源を入れてみよう)

 翌日、出社した神代はスマートフォンの電源が無事入ったことを確認し、安心した。
「うわ……」

 電源を入れた瞬間一気に大量の着信の履歴やメールが受信される。
 くらりとした。
「香澄さん……」
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