敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 まずは受信されたメールの処理が優先だった。

 手が止まったのは見慣れないアドレスと『書道パフォーマンスについて』という題名だったからだ。

 アドレスは『清柊』という名前が入っていたので、清柊からだということは分かった。
 丁寧な挨拶と先日は失礼しましたと書いてあった後、『急なのだが、翠澄さんが書道パフォーマンスをされるので、お時間があればぜひ行かれませんか?』という連絡と時間や場所などの案内だった。

 時間は明日で今週の金曜日。時間は夕刻だ。
 その時間帯はちょうど打ち合わせのために移動する時間となっていた。
 空いてはいないが、一瞬の隙間時間を作ることは可能かもしれない。

 社内電話で秘書の高村を呼ぶ。高村はすぐに部屋にやってきた。

「はい」
「明日なのですが、夕刻の打ち合わせのこの隙間の時間なんですが、ショッピングセンターに寄ることは可能ですか?」

「……はい。少しの時間でしたら可能です」
「少しでも構いません。寄ってほしいのですが」
「承知しました」

 了承はしてくれたが、高村からは少し戸惑った雰囲気を感じた。突然のCEOのわがままにも嫌な顔一つせず快く了承してくれた高村に説明しておいた方がいいだろう。

「香澄さんが書道パフォーマンスをされるそうなんです」
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