敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 いつもはおとなしく、優しい雰囲気の香澄なのに書道をしているときはいつもきりりと芯が通っていて、自信に溢れた姿に凛々しさを感じるのだ。

 その場にいるみんなが香澄に釘付けになっていることにすら嫉妬しそうだ。
 今すぐ前に出て『彼女は俺のものだ』と言いたくなる。 できあがった文字は『臨む』だった。
 先ほどのチャレンジとも重ねているのだとすぐに分かる。

 カタカナで文字数の多い作品と、漢字で同じような意味を持つ文字数の少ない作品。どちらも見事で素晴らしいものだった。

「神代CEO! お時間です」
 腕時計とにらめっこしていた高村に急かされて、香澄には声をかけることもできず、神代はその場を去った。

 香澄へ贈るつもりにしていた指輪が入っている内ポケットのある場所をとても温かく感じた。


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