敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 さすがにそこまではしないと香澄は思うのだが、菜々美は譲らなかった。こうなると梃子でも動かない頑固なところは親子としか言いようがなかった。

「まあ、今は頭に血が上っているでしょうから、落ち着くまで待つ、というのも一つでしょうね」
 そう言って腕を組んで神代は頷く。


 四人で話し合って、今のところは菜々美の居場所を叔父には伝えないということで合意した。
 それに対して神代が条件を出す。

「今のところ、俺の方からの話で香澄さんとお見合いを進めることの許可は頂いています。正直その時点で菜々美さんが心配しているような口出しはないものと考えています」
 三人とも神代の言うことにこくこくと頷いた。

「香澄さんとの結婚のお話がもっと整った場合、近いうちに結納など検討したいと思いますが、結納まで進み、結婚式場などを決めた場合には二人のことはオープンにしてください。その際はお味方しましょう。まあ、それほど時間をかけるつもりはありませんが」

 さすがはやり手と呼ばれる経営者だった。
 この場で話すことだけでも説得力があり、伯父に打ち明けることがあっても大丈夫だろうとみんなが確信する。

(神代さん……カッコいい)
 そんな場合ではないと思うのだが、香澄はキリリとその場を仕切る神代に見惚れてしまっていたのだった。


< 92 / 196 >

この作品をシェア

pagetop