敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
9.お願いとおしおき
 その後は四人で吉野が作ってくれた食事を楽しく食べた。
 神代は吉野の料理が気に入ってしまったようで、また来ますと店のカードをもらっている。

 帰り際、香澄は菜々美に声をかけられた。
「香澄ちゃん、いろいろ迷惑かけてごめんね。でも、香澄ちゃんが神代さんに大事にされていてすごくよかった。私の夢はね、いつか大ちゃんのお店が軌道に乗った時に香澄ちゃんにお店の屋号を書いてもらうこと」

「今だって書くのに……」
「いいえ。いただくものじゃなくてちゃんと香澄ちゃんに正当なお金を払えるようになりたいねって、さっき大ちゃんと言っていたのよ。さっきのを見て大ちゃんもファンになってしまったみたい」

 吉野と菜々美が外でお知らせを貼り付けていた時にそんな話をしているとは思わなかった。
 香澄の書をぜひと言ってもらえることは本当に嬉しい。

「じゃあ、いつかご依頼を頂くのを待っているね」
「うん!」
 そんな香澄と菜々美を吉野と神代は微笑まし気に見ていた。

 お見送りしてもらって香澄は神代の車に乗る。もう、助手席に戸惑うこともない。
 車に乗ってしばらくすると神代が運転しながら口を開く。
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