敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
「先ほどこちらに向かう時に柚木の家には連絡して、香澄さんの姿がないと思ったのは俺の勘違いで、香澄さんとは無事お会いできたので、一緒に出かけると伝えてあります」

「ありがとうございます」
 香澄が行方不明だ! と家の方で心配をしないように神代が手配をしてくれていたらしい。

「俺の家を見に来ていただくということになっていますので、このまま寄ります」
(ん……? 神代さんの家?)

 顔に疑問符が浮かんでいそうな香澄に神代はくすりと笑う。

「今住んでいるマンションは二人なら十分住める広さだと思うので、結婚したら香澄さんに来ていただこうと思っていました。まあ、結婚する前に同棲してもいいかな? と思ってもいましたが、いずれ近いうちに下見には来ていただくつもりにしていましたから」

「同棲ですか?」
 突然生々しい言葉が飛び出して香澄はびっくりする。

「検討していただけると嬉しいですが?」
「か、考えます」
 香澄がイメージしていた漠然とした結婚としたものに、色がついてリアルさを感じた瞬間だったかもしれなかった。
 

 神代のマンションはいわゆる高層マンションで部屋はその上層階にあたる。
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