敏腕CEOは初心な書道家を溺愛して離さない
 高層階用の専用エレベーターで部屋に向かった神代はエレベーターを降りる時にきゅっと香澄の手を握った。

 手を握ったまま奥の部屋に向かう。
 指を絡めて繋がれた手に香澄はどきどきしてしまった。

「散らかっていますが、どうぞ」
 そう言われて招き入れられた部屋は廊下の一番奥がリビングになっていて、大きくとられた窓からは部屋の外に夜景が広がっているのが見えた。
 高層階なだけあって、遠くに向かってキラキラと光が広がっている。

 香澄が住んでいるのは戸建てなのでこのような景色にはなかなか馴染みがなかった。
「すごい……とても、綺麗……」

 しかも散らかっていると言っていた神代の部屋はまるでモデルルームのように整えられている。ダイニングには大理石のテーブルが鎮座しており、その周りに革張りのダイニングチェアが置いてあった。

 リビングにはふわふわのラグが敷いてあってガラス製のローテーブルが載っていて、ソファはオットマンがついていて足が伸ばせるタイプだ。

 一人暮らしのようだが、広々としていてさすがは企業の経営者なのだなあと香澄は感心してしまった。

「散らかってないじゃないですか……」
 散らかっているどころか、雑然とすらしていない。
「ハウスキーパーさんのおかげかな」
 神代は可愛く責める香澄に苦笑して返した。
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