お見合いの場で「おまえは好みではない」と言われた令嬢の攻防戦
 いつものキャスリンのままアーノルドと会ったら、絶対にドン引きされる。だから絶対に淑女のように振舞うようにと、両親からはきつく強くしつこく言われたのだ。
「キャス、俺に気を遣う必要はない。不敬とは言わない。何よりも俺たちは恋人同士、いや婚約者同士」
「いや、まだ婚約していないが……あ、申し訳ありません」
 こうやって意識しなければ、ついつい素のキャスリンが出てしまう。
「だから、言っただろ。俺に気を遣う必要はない。猫を十匹かぶる必要はない。全部脱いでくれ」
「全部脱げって……エロ魔人か!」
「はははは。やはりおまえは面白いな」
 そうやってなんとか話が盛り上がろうとしていたところに慌てて駆け付けてきたのは大柄な男、セリーナ辺境伯だった。キャスリンは父親似なのだろう。黒い髪に碧眼は二人の共通点だ。
「殿下! 古竜が現れたと聞きましたが、ご無事ですか」
 ドシドシと足音を響かせるような走り方で大男が東屋へと近づいてくる。
「セリーナ辺境伯か。久しいな。以前、会ったのは……」
「えぇ。もう忘却の彼方で覚えておりませんが……ご無事で何より……」
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