お見合いの場で「おまえは好みではない」と言われた令嬢の攻防戦
「お、おい。そんなに見るな」
 慌てて仮面をつけようとするアーノルドの手を、キャスリンはガシッと掴んだ。
「もっとあなたの素顔を見せてください」
「や、やめろ」
 恥ずかしげに顔を伏せるアーノルドは、耳の下を真っ赤に染めている。首元まで赤い。
「俺の顔はこんなんだ。だから社交の場にも一切出ない。だが、おまえは若く美しい。着飾って、そういった華やかな場にも出たいだろう?」
 若いとアーノルドは口にしたが、アーノルドだってキャスリンとの年はさほど変わりはない。
「いいえ。わたくしも社交の場は苦手です。そういった催し物に参加するより……。あ、申し訳ありません。これ以上は父からとめられておりました」
「だが、これでわかっただろう? こんな醜い俺と美しいおまえでは釣り合わない。おまえの評判を落とすようなものだ」
「殿下はわたくしのことを案じてくださったのですね?」
 だから嫌われるような醜い言葉をわざと口にしたのだろう。
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