復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 東儀家を継いだ父親の唯一の跡取り息子として生まれた崇人は、離婚した母親からも引き離され、幼少より後継者として育てられた。なのでその責任を逃れることはできないのはよくわかっている。これは自分の運命だと既に受け入れている。

 ただそんな崇人にとって、もちろん結婚も家柄やビジネスの利益を重視したものを求められる。実際にそう言った縁談話が親戚や知人から山のようにくる。今だって、とある名家のお嬢様との縁談話が勝手に進んでいる。でも──…

 崇人は指を折りたたむと、手のひらにある小瓶を握りしめた。

 もしこの長い人生でたった一つだけ望むものがあるとすれば、それは逢莉のあの輝くような笑顔だ。彼女の愛する人に向けられる一途でひたむきなあの愛情が欲しいと思う。

 今でもミスコンで抱き合っていた逢莉と妹の嬉しそうな笑顔が脳裏に浮かぶ。

 彼女と一緒に過ごす人生はいつも笑顔と愛に溢れていて、きっと幸せに違いない。彼女の揺るぎないあの愛情があれば、きっとどんな困難も乗り越えていける。自分の人生はきっと豊かになる。


 「わかった。彼女と彼女の妹のことは俺が必ずなんとかする」

 そう心に誓った時、カタンとバスルームのドアが開く音がして、崇人は急いで小瓶をバッグの中に戻した。

 「彼女には余計なことは一切何も言うな。自分で口説き落としたいから」

 彼女を手に入れる為の良いアイディアが浮かんできて、崇人は小さな悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 崇人が今まで欲して手に入らなかったものはない。秘書の鞍馬にもよく言われるが何かを追い求める時の崇人は容赦ない。こうして彼女と再び会えたことはある意味運命だ。この運命を絶対に逃しはしない。
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