復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「どうぞお受け取りください」

 柏木常務は綺麗な包装紙に包まれた手土産を次々と取り出すと、まるで貢物でも献上するように私にうやうやしく手渡した。

 「わざわざお気遣いありがとうございます」

  高級食材の詰め合わせやら有名銘菓の菓子折りなど何箱も受け取りながら、なんだか申し訳なくなって丁重に頭を下げた。

 それにしてもこんな質素な何もない家に大企業の御曹司がいるのが、なんだか場違いな気がして緊張してくる。しかも今日の私はこの家の主人で結愛の親代わりだ。

 なんとか落ち着こうと、紅茶の入ったカップに手を伸ばした。イギリスで買ってきたアールグレーで、なかなかいい香りがする。

 「結愛さんとは出会った瞬間に一目惚れしました」

 ゴフッとむせそうになって、慌てて口元を拭きながら私はカップをテーブルに戻した。

 「そ、そうなんですね」
 「はい。彼女と初めて会ったのは、今から一年ほど前になります」

 どうやら穂月社長との商談で、彼女の忘れ物を届けに現れた結愛に一目惚れをしたらしい。なので東儀社長から新しい秘書にどうかと結愛を紹介された時はかなり驚いたという。

 「彼女に付き合って欲しいと告白したのですが、お姉さんを1人にしたくないとあっけなく断られました。でも、なんてお姉さん想いの、家族想いの優しい子なんだと思ったら余計に好きになってしまって。そんな彼女が愛しくてたまらなくて、何度も断られたんですが諦められなくて、何度も何度も彼女にアプローチして、オフィスでも逃げようとする彼女を捕まえて追い詰めて──…」

 顔がどんどん赤くなる結愛に、なんだか自分の顔も火照ってくるのを感じてくる。
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