復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 あまりにも急な展開でなんだか話についていけないものの、とりあえず頷いた。

 それにしても結愛に子供……ということは私の姪か甥になるということだ。そう考えると、まだ小さな豆粒のような存在が急に愛しくなってくる。エコー写真にある胎芽をそっと指で触れれば、なんだか感動と喜びで心がジワリと温かくなる。

 「じゃあ、今週末はどうかな」
 「えっ、今週末?」

 ちょっと早すぎるんじゃ……と思うけど、これから結愛のお腹はどんどん大きくなって目立ってくるようになる。これは一刻も早い方がいいのかもしれない。

 「わかった。じゃあ土曜日にしよう」


 *


 そうして訪れた週末の土曜日。

 我が家の狭い玄関に入ってきたのは、優しそうな気品のある男性だった。年齢は30歳。身長は東儀社長と同じくらいだろうか。かなりの高長身でこの狭い玄関がさらに狭く見えてしまう。

 それにしても御曹司というのはイケメンが多いのだろうか?それとも東儀社長の周りがそうなだけなのか。

 柏木常務はスラリとしたバランスのとれた八頭身で、顔は東儀社長のような支配者のような圧倒的存在感はないものの、とても繊細で綺麗な顔立ちをしている。

 そんな彼はいきなり玄関でガバッと土下座すると、額を床にこすり付けるように頭を下げた。

 「お姉さん、順番が間違ってしまい大変申し訳ありません!!」

 自分より年上でしかも大企業の常務というすごい立場の人に土下座され、「ひぇっ」と声にならない悲鳴を漏らしそうになる。

 「どうかお顔をあげてください!」

 私の慌てたような声に柏木常務はゆっくりと顔を上げて、とりあえずホッと一息つく。

 「あの、狭い家ですが、どうぞお上がりください」

 そう言って私は彼を家の中へと案内した。
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