復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「うちのバカ息子が本当に申し訳ありませんでした!!」

 彼に連れてこられたのは、都内でも有名な高級住宅地にある立派な門構えのある大きな邸宅だった。ご両親が早速私達を出迎えながら頭を深々と下げた。その奥では彼のお兄さんである柏木副社長が、絢斗さんの後ろ頭をパコンと叩いている。

 「いえ、そんな、とんでもないです!あの、でも……本当に結愛で大丈夫なのでしょうか?」

 柏木常務のようにある程度地位があってこのような大きな会社を継ぐ運命にある彼らには、それなりに身分に見合った女性と結婚することが求められるんじゃないかと思う。東儀社長にだって名家のお嬢様からの縁談は山のようにきている。

 「見合い話はいくつかあったんですけど、絢斗に全くその気がなくて。そしたらある日いきなり大切な人に会って欲しいって、結愛さんを連れて来たの。あの子が女性を家に連れてくるなんて初めてだったから、皆で目を丸くしたんですよ」

 そう朗らかに笑う柏木夫人は柏木常務とよく似たとても上品な顔立ちをしている。

 「長男も仕事で知り合った女性と結婚したし、次男も高校の同級生と去年結婚したばかりなの。私達親としては息子が幸せになれる相手だったら家柄なんて全く関係ありません。そもそも私もごく普通の家庭の出身なの。ね?」

 そう言って彼女は柏木社長を見上げる。柏木社長は少し照れたように笑ってて、そんな二人の纏う空気はほのぼのとしている。きっと夫婦二人仲がいいのだろう。
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