復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 ピンポーン、ピンポーン


 「う〜ん……もう、うるさいなぁ。誰……?」

 何だか急かされるようなチャイムの音に目が覚めて、私はすこし苛立ちながら寝返りを打った。薬が効いたのか、頭がスッキリとしている気がする。

 額に手を当てると熱が引いているのかひんやりとしている。ふと壁にある時計を見ると、既に午後の3時過ぎだった。

 (うわぁ、あれからご飯も何も食べずに寝てたんだ……)

 そんな自分にちょっと驚きながらも、のそりとベッドから起き上がる。ちょうどその時、再び玄関のチャイムが鳴った。

 (なんかしつこいな……こんな時間に誰だろう?変な宗教の勧誘かな……)

 玄関まで出るのが面倒で無視していると、今度はスマホの着信音が部屋に鳴り響く。表示を見るとなんと東儀社長からで、慌てて通話ボタンを押した。

 「東儀社長……?あの何か仕事で……」

 少し掠れた声で電話に出ると、ホッと彼の安堵のため息が聞こえた。

 「よかった……。今外にいるから玄関を開けろ」
 「えっ……玄関??いま外!?」

 よろよろとしながらも、慌てて玄関まで行くとドアを大きく開けた。

 「ククッ。なんか凄いことになってるな」
 
 絡まってボサボサの髪に、マスクをして現れた私を一目見て彼は面白そうに笑った。そんな彼に、悔しいことに何故かドキッと胸がときめいてしまう。

 彼はいつものテーラーメイドの上質なスーツではなく、黒のサマーニットにベージュのチノパンというカジュアルな姿で、それが何故かやけに色っぽく見えてしまう。どうやらイケメンというのは何を着ても似合うらしい。
< 125 / 156 >

この作品をシェア

pagetop