復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 彼はそんな私の姿を見て面白そうにククっと低く笑った。彼も私と同じように魚料理を注文していて、それと一緒に頼んだ前菜をつまみながらワインを飲んでいる。

 「午後は天気が悪くなるらしいから、それまで滑れるだけ滑ろう」

 彼にそう言われて遠くの山を見ると、確かに重い雪雲が立ち込め始めている。山の天気はどうやらあっという間に変わってしまうらしい。

 「はい!」

 そうして二人でランチを済ませた後、再び何度か滑って山を降りた。その頃には既に空は重い灰色の雪雲に覆われていて、雪もかなり降り始めている。私達のように山から降りて来る人で山の麓はごった返していた。

 「疲れてないか?」

 ゴーグルをあげた彼は私の顔を覗き込んだ。正直なところ朝からほぼ一日中滑ってて足がパンパンだ。

 「大丈夫です。でもこれ以上は足が耐えられないかも」

 「ククッ、だろうな。でもよく頑張ったな。初めて滑ったにしてはなかなか上出来だ」

 そう褒められて嬉しくなる。きっと彼のスパルタのレッスンのお陰だ。

 「よし。じゃあ、ホテルに戻ろう。おいで」

 あたりはすでに暗くなりつつあって、クリスマスのイルミネーションがあちこちに灯っていてとても綺麗だ。このビレッジの中にはレストランやお土産屋さん、スキーの専門店や、スイーツの店、それに普通の食料品店となんでも揃っている。

 「ほら手をかせ。冷たいだろ」
 「うん。ふふっ、崇人さんっていつもあったかい」

 そうして粉雪がはらはらと舞う中、彼と仲良く手を繋いでぶらぶらとお店を覗きながらゆっくりとホテルまで歩いた。
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