復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 ***

 翌日、羽田空港から飛び立った穂香は9時間近い飛行時間を経て無事バンクーバーに降り立った。早速今日泊まるホテルに向かうと、待ち合わせのロビーで汐梨が手を振っていた。

 「お母さん、こっちこっち!」
 「汐梨!」

 穂香は自分によく似た女性を抱きしめた。背格好や髪型、それにスラリとスタイルの良いところはどちらかというと自分に似ている。でも意志の強そうな瞳は父親にそっくりだ。

 「飛行機は大丈夫だった?」

 「飛行機の中でぐっすりだったから、かなり揺れてたらしいんだけど全然気づきもしなかったわ」

 「汐梨は本当に肝が据わってるわね。一体誰に似たのかしら」

 「それはやっぱりお母さんじゃないかな」

 そう娘とクスクス笑いながらホテルにチェックインした穂香は、早速部屋へと向かって歩き出した。

 「そうそう明日なんだけど、ウィスラーでお兄ちゃんと合流する予定なの。逢莉も一緒よ。お母さん、逢莉覚えてる?何度か写真を見せたでしょ?」

 「覚えてるわよ。でもね、実は写真じゃなくて実際に彼女に会ったの。崇人が私が出席したチャリティーガラに連れて来てたのよ」

 「え、そうなの?」

 あの時の息子を思い出して、穂香はくすくすと笑った。母親にまでちゃんと話が届くように、彼女を婚約者だとか恋人だとか周りの人間に散々言いふらしていた。そんな独占欲の強いところは父親似なのかもしれない。

 「うん。なかなか可愛いお嬢さんじゃない。崇人にはああいうお嬢さんが合うなぁってずっと思ってたのよ。明日一緒にお話しできるのがとっても楽しみ」

 「なんだぁ、もう既に逢莉に会ってたのね。お兄ちゃんそんな事一言も言ってなかったな。……あ、お母さんの部屋はここね」

 エレベーターに乗って上層階に着くと、汐梨はある部屋の前で立ち止まった。カードキーを使ってドアを開けると、そこは大きなスイートルームになっている。

 「まぁ、随分と素敵な部屋ね。こんな大きな部屋をわざわざ取らなくても……ってあら、汐梨どこへ行くの?」

 さっさと部屋から出て行こうとしている娘に疑問符を浮かべた。すると汐梨は上機嫌で穂香にウインクをした。
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