復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 最近は翻訳アプリやAIなどかなり正確に訳してくれるソフトがあるが、翻訳はただ書いてある事をそのまま直訳するというよりも、どれだけ相手にわかりやすく意思や思いを正確に伝えることができるかが重要だと思っている。

 相手の顔や表情を見ながら通訳する時とは違い、翻訳は相手の顔の表情や雰囲気がわからない。その分、書き手や相手の意思を正確に伝える文章にする必要がある。

 なので、まず翻訳する前に全体の内容を理解したり、相手の言いたい事を理解した上で翻訳を進めている。

 もちろん自分の解釈で進めた翻訳が、クライアントの意思と微妙に違ってやり直しする時もある。でも、文章におこす時は的確な単語や表現で翻訳をする努力をいつもしている。

 それにはひたすら本を読んで単語や言い回しをたくさん覚えたり、お気に入りの翻訳家さんが訳した書籍などを読んで勉強したりと、とにかく出来るだけ多くの本を読んで翻訳するセンスを身につけるようにいつも努力をしている。


 (えーっと、Join us for the 20xx International Symposium at Tokyo International Forum……)

 カタカタとPCのモニターと自分の書いたメモなどを見比べながらキーボードをたたく。

 そうしてしばらく作業をしていると、「橘花さん」と私を呼ぶ声が聞こえた。後ろを振り返ると、翻訳コーディネーターの町田さんが立っている。

 「ごめん、ちょっと調整に時間がかかって遅くなっちゃって。今からミーティング大丈夫?」

 「あ、はい。もちろんです」

 私は作業中のファイルを保存すると、メモ帳とペンを持って彼女の後に続いた。
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