復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「東儀くん!」

 そう呼ぶ彼の後ろには若い綺麗な女性が続いている。

 「櫻井会長」

 東儀社長は歩みを止めると目の前の男性に会釈をした。確か彼は投資銀行の櫻井ファイナンシャルの会長だったと思う。私も慌てて一緒に会釈をした。

 「いやぁ、随分と久しぶりだね。お父様はお元気かい?そう言えば、娘の深雪なんだが覚えてるかな?ほら、深雪、東儀社長にご挨拶をなさい」

 櫻井会長は後ろに控えている若い女性を紹介した。歳は私と同じぐらいだろうか。綺麗なブルーのイブニングドレスを身に纏っていて、陶器のような白い肌とよく合っている。とても綺麗な人だ。

 彼女は私をチラチラと見るものの、顔を赤らめながら東儀社長に微笑んだ。

 「東儀社長、お久しぶりです。いつもご活躍を拝見しています」
 「ありがとうございます。深雪さんもお変わりありませんか?」

 彼はいつものビジネススマイルでニコリと微笑む。


 「橘花さん!」

 ちょうどその時、突然私を呼ぶ声が聞こえて後ろを振り向いた。すると以前ビジネスサミットで通訳を務めた時に知り合った、流川さんが立っている。彼は経済産業省の通商政策局に勤めている人だ。

 「流川さん!お久しぶりです」

 「橘花さん!お元気でしたか?実は、今夜橘花さんがいらっしゃったらいいな……なんて淡い期待をしながら来たんですが、まさか本当にお会いできるなんて思ってもいませんでした。今日も通訳のお仕事ですか?」

 「はい」

 一応仕事だと思うのだが、イマイチその辺がよくわからないので、チラリと東儀社長を見上げた。彼は櫻井会長と深雪さんと一緒に、お互いの近況などについて会話を交わしている。
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