復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 「橘花さん、その……今日は……一段とお綺麗ですね」

 彼は私のドレス姿を見てポッと顔を赤くしながら、照れたように頭の後ろを掻いた。

 「いえ、そんな……お世辞でも嬉しいです。ありがとうございます。流川さんも今日はとても素敵ですよ」

 綺麗に正装している流川さんに私もそう伝える。すると彼は顔を赤くしながらも私に一歩詰め寄った。

 「あ、あの……このパーティーの後なんですが、何かご予定はありますか?もしよければここの展望レストランにあるバーで一緒に飲みませんか?夜景が一望できてとても綺麗なんですよ」

 「えっと……」

 流川さんは悪い人じゃないが、こんな高級ホテルのバーで2人で飲むほど親しいわけでもない。

 なんて返事をしようかと考えていると、突然ぞくっと悪寒が背筋を走って身震いをした。見なくてもわかる。隣から彼のあの凍りつくような視線が私を見下ろしているのを感じる。


 「東儀くん、このガラの後どうだろう。一緒に私達と一杯飲まないか?深雪が君といろいろと話したがっていてね」

 そう櫻井会長が朗らかに笑いながら東儀社長に尋ねているのが隣から聞こえてくる。

 「も、もう!お父さんったら……!」

 彼女はそう恥ずかしそうにするものの、まんざらでもないらしい。期待したような目で彼を上目遣いに見ている。

 「あ、あの、東儀社長は、この後お忙しいですか……?」


 「橘花さん、どうですか……?実は今度日仏商工会議所が主催するワインテイスティングパーティーがあるんですが、通訳をお願いできませんか?ぜひまた一緒にお仕事をしたいなと思ってるんですが……」

 私の目の前では流川さんが再び顔を覗き込みながら尋ねてくる。

 「そうですね……」

 こうして仕事をいただけるのは本当にありがたいことだ。でも私はフリーランスではないので、ブリッジ・インターナショナルを通してもらわなければならない。それに今は東儀トレーディングとの契約もある。

 どう切り出したらいいんだろうかと迷っていると、突然隣から東儀社長の低い声が響いた。
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