復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
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 それから約2時間後──…
 

 「セ、セクハラで訴えます!!!」
 
 私はプルプルと拳を震わせながら東儀社長に言い放った。

 チャリティーガラはとても素晴らしく、今回のガラの目的である貧困にある子供達への援助に関するプレゼンテーションはとても勉強になる内容だったし、舞台で行われたエンターテイメントも食事もとても美味しくて楽しめた。

 ただ、東儀社長はことあるごとに私にイチャイチャと触れてきて、同じテーブルや周りに座っている人達に私を彼女だとか「Ma chérie」だとか何度も紹介していた。会場にいた半数以上の人にこの話が伝わったんじゃないかと思う。

 東儀社長を目当てに来ていた女性達や、私達のすぐそばに座っていた深雪さんと流川さんはそんな彼の様子にすっかり打ちのめされていて、深雪さんはディナー中は終始暗い顔で無言だったし、流川さんに至ってはなぜか怯えたように東儀社長を見ながらディナーが終わった後慌てて帰って行った。


 「セクハラか……」

 彼は私の言葉に少し考え込むと、ポケットの中に手を突っ込んだ。そして私の前に小さな小瓶をぶら下げた。

 「この小瓶の中身は一体何だ?」
 「ああっ!!それっ!!!」

 なんと彼が手にしているのは、あの朝どれだけ探しても見つからなかった媚薬の入った小瓶だ。慌てて奪い返そうと手を伸ばすと、彼はひょいっとさらに高く持ち上げて、私の手はスカッと宙を空振りする。

 「っ……!」

 今度は背伸びをしてぴょんぴょんと飛びながら彼の頭上に手を伸ばす。彼はその小瓶をさらに高く持ち上げた。

 「…………」

 しばし私たちはお互いを見つめ合ったまま、その場に立ち尽くした。ふと、彼の口角がふっと上に持ち上がったような気がして、私はコホンと咳払いをした。
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