復讐は溺愛の始まり 〜一途な御曹司は愛しい彼女を逃がさない〜
 人格を否定するような暴言を吐かれることはもちろんのこと、こんな仕事ができない人間に給料は払えないだの、入れたコーヒーがまずくて飲めないだの、実際に熱いコーヒーや書類などを投げつけられる事もあるらしい。

 手っ取り早く言えばかなり悪質なパワハラ。以前からいけ好かない社長だとは思ってはいたが、私は完全にブチ切れた。

 「そんなのパワハラでしょ!しかも超悪質!訴えてやる!!!」

 あまりにも腹が立って思わずガタンと椅子から立ち上がった。

 「い、いいの、もう。2週間前に退職届を出したし……。実はここ最近眠れなくて、先月会社で倒れちゃって……。その時にあなたみたいなクズは早くどこかに消えてくれないか……って言われて……。だからもう辞めようと思う……」

 「当たり前よ!そんな会社こっちから願い下げよ!!!」

 結愛はできない人間なんかじゃない。もちろんクズでもない。人一倍真面目で、そして何事も一生懸命にする努力家なのは私が一番よく知っている。自分がパワハラされるよりも何倍も悔しくなって拳を握りしめた。

 「退職届け2週間も前に出したのに、なんで来月いっぱいまで働かなきゃいけないの。そもそも法律上では退職届を出したら2週間で辞めてもいいはずでしょ?そんな会社もう月曜日から行かなくてもいい!」

 「でも社長が、今から募集かけて私の代わりの人を採用するまでに少なくとも1ヶ月はかかるから、それまで働けって……。それに引き継ぎもあるし……」

 「そんな義理、結愛にはないよ!そんな会社に行くのはもうやめなさい。もしそれで何か言ってくるようなら私が直接社長に話す。ちょうど一言、言ってやりたいと思ってたところだから!」

 私は憤慨して鼻息も荒く言い放った。一言なんてもんじゃない。今まで誰にも暴力はふるった事はないが、はっきり言ってこの女社長には一発平手をかましたいくらいだ。
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